台湾化粧品市場規模がどのくらいなのかは各化粧品メーカーの皆様が台湾市場におけるマーケティング戦略を立案する際には必ず把握しておきたい数字です。
弊社でもコスメ関連のクライアント様のサポートに力を入れていおりますが、台湾に進出してからどの程度の市場シェアを取れるかはお打合せする際の重要な論点であり、大事な共通認識事項でもあります。
そんな台湾の化粧品(コスメ)市場の全体像はどうなっているのかをお話していきたいと思います。
出典元としてEuromonitor International(EI社)とIsrael Economic & Trade Mission in Taipei(IETT社)の2社から2018年の同時期に公表されたレポートを比較して見てゆきたいと思います。
EI社は過去4年の平均値(恐らく2012−2016年)、IETT社は2016年の集計結果としています。
2つのレポートを見比べながら台湾の化粧品市場が具体的にどの程度の規模なのか精度を高めて見れるはずです。
目次
台湾コスメ市場の金額規模とジャンル別シェア
出典 | EI社調査 | IETT社調査 | ||
項目 | シェア | 金額(円) | シェア | 金額(円) |
市場規模 | 100% | 4200億 | 100% | 4300億 |
スキンケア | 50% | 2050億 | 52% | 2236億 |
化粧品 | 20% | 840億 | 17% | 731億 |
ヘアケア関連 | 9% | 378億 | 9% | 387億 |
その他 | 21% | 882億 | 22% | 946億 |
結論から言うと化粧品を含めた台湾コスメ市場規模の総額は約4300億円なります。
日本のコスメの市場規模が約2兆7000億円なので約1/6。
日本と台湾の人口比率から見ても金額規模としては妥当な数字 or もう少し伸びる市場であるかと思います。
台湾におけるコスメのジャンル別シェアを見てもスキンケアが約50%、化粧品が20%で2社のレポートでは大きく相違がありませんのでこれも妥当性があります。
この2つに関しては競争が激烈なので、今後台湾市場展開を計画される場合は広告戦略をよく考えなければ差別化が難しいかもしれません。
自社のベンチマークとなる競合製品が台湾でどの程度のシェアを締めているのかを調査すれば、進出後の売上限界値をある程度算出できると思います。
ヘアケア関連に関しては10%程度なので、もしかしたら狙い目なのかも?
台湾のコスメ市場に進出している国別のシェア
出典 | IETT社調査 |
台湾マーケット国別比率 | シェア |
日本 | 26% |
アメリカ | 16% |
フランス | 17% |
韓国 | 9% |
中国 | 8% |
その他 | 24% |
こちらのデータはIETT社の調査結果のみとなります。
台湾のコスメ市場の国別販売比率は日本メーカーのシェアがトップで約3割を締めます。
やはりお隣の国だからなのでしょうか。
国民性的にも立地的にも環境的にも日本企業の海外進出の登竜門。
台湾がそんな位置付けなのはただの印象論だけでなく、結果として数字で出ています。
化粧品に限らず、台湾のいたるところに日本製品が溢れています。
これは裏を返すと日本製品だから売れると言った方向性で台湾進出を考えるのは浅はかで危険です。
商品・サービスがどんな価値を提供するのか?これを軸にブランディングと広告戦略を練らなければなりません。
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台湾人はどのチャネルでコスメを買うのか?
出典 | EI社調査 | IETT社調査 |
百貨店 | 25% | 24% |
ドラッグストア | 10% | 48% |
EC・ネットショップ | 11% | 14% |
直販 | 10% | N/A |
サロン | N/A | 12% |
その他 | 44% | 2% |
台湾人のコスメ購入動線もマーケティング担当者が一番気になるところです。
ただ、2社のレポートには偏りがあり、EI社の場合ドラッグストアでの購入比率が11%しかありません。
台湾のドラッグストアは全台湾に店舗を構えるコスメドとワトソンの最大手2社が存在しているので、11%という数字は少なすぎる印象なので、IETT社のレポートの方が実態に近いのかなと見ています。
で、その実態はというと百貨店では24%、ドラッグストア 48%、美容室を含むサロンは11%でオフライン購入は合計で83%を占めます。
日本だけでなく依然として台湾でもオフラインチャネルでの購入が主流です。
コスメ関連商品に関しては実際に手に触れたり、試したり、してから購入の意思決定をする動線なのでしょう。
EC等のオンライン購入の設置だけでなく、どこのチャネルに流れても問題無いことを意識した販路整備も非常に重要な戦略となります。
ECメインがメインだったり越境ECを企画している商品の場合は慎重に考えなければなりません。
台湾市場で売れているコスメブランド
出典 | EI社調査 | IETT社調査 |
1位 | 資生堂 | 資生堂:約13% |
2位 | SK-Ⅱ(P&G) | SK-Ⅱ(P&G):約9% |
3位 | ロレアルパリ | ロレアルパリ:約8.5% |
1位(台湾ドメスティック) | 私のきれい日記 | N/A |
2位(台湾ドメスティック) | CHLITINA | N/A |
3位(台湾ドメスティック) | DR.WU | N/A |
台湾のコスメ市場のシェアを締めているのは2社で相違はありませんでした。
1位は天下の資生堂。高価格帯から低価格帯まで幅広いジャンルと年代をガッツリと押さえているはずなので、やはり強いです。
2位はSK-Ⅱ (アメリカ)、3位はロレアルパリ(フランス)で見事なほど綺麗に国別シェアの比率順に並んでいます。SK-Ⅱさんは日本のイメージが強いですが販売元のP&Gさんはアメリカ資本です。
広告戦略はこの辺りをブランドの対象製品をベンチマークして参考にすると良いかもしれません。
上位に以外にも特に参考にしたいのが、台湾のドメスティックブランドの存在。
私のきれい日記(我的美麗日記)はフェイスパックが爆発的な人気で、近年日本でも美容感度の高い女性が台湾旅行の際のお土産マストバイとして認知されているブランド。
日本だけでなく、中国本土からの旅行客もダンボールで購入して帰国する程の人気があるブランドです。
この辺りは訪台予定のある方は研究材料の一つとして覚えておくと良いと思います。
台湾コスメ市場の今後のトレンド
レポートの締めくくりとして2019年以降の今後の台湾化粧品市場の見通しを述べています。
男性向けスキンケア用品の成長
O2O(オンラインtoオフライン)の成長
環境配慮コスメの需要増加
コスメ×ビッグデータ
こちらの見立て通り、昨年から某男性スキンケア商品は台湾にてガッツリとインフルエンサーを活用したブランディング展開を行っており、O2Oに関しても上記で述べたとおり、台湾人のコスメ購入チャネルが強く意識されています。
日本と同様に台湾では人口全体的高齢化が進んでおり、30~50代ボリュームゾーンです。
老化防止関係の商品展開が市場のトレンドで、最近では老化防止、肌年齢維持、保湿などがトレドワードとなっており、広告としてよく見掛けるようになりました。
そんな30代向けのトレンドワードを10代後半〜20代に対しては、「今から始めるスキンケアが未来の若々しさを保つ秘訣!」等のコピーで最適化してプロモーションする企業が目立っています。
コピーは大事ですね。笑
本当はもっと書きたい事がありますが、本日はこれまで。
台湾化粧品市場研究のご参考になれば幸いです。