こんにちは!代表の呉竹です。
インフルエンサーマーケティングはここ数年で日本市場でも様々な業種分野で広く認知が拡大し、一般的な広告手法となりました。
インフルエンサー市場もかなり成熟し、広告主側の需要とインフルエンサー側の供給、それに付随するSaasのサービスも非常に多く溢れるようになりました。
それは日本だけでなくインフルエンサーの活用が早かった中華圏や台湾KOL市場でも同様の状況です。
弊社では日頃から多くのクライアント様からインフルエンサーに関してのご相談を頂きますが、導入を検討しているクライアント様から良く聞かれるとうになったことがあります。
本当にインフルエンサー広告って効果があるの?というご質問です。
目次
インフルエンサーは効果があるのか?
結論を言うと、インフルエンサーは効果のあるPR手段であり、今後もこの手法は無くなりません。
「インフルエンサーって効果がないよね」という声の裏側には間違ったインフルエンサー起用が浸透してしまったからです。
「インフルエンサーを起用すれば商品が爆売れする!」という時代は既に過ぎ去っている事を理解しなければなりません。
ただ単に闇雲にインフルエンサーに商品をPRしても売れません。効果なんてありません。
インフルエンサーって効果ないよね!と聞く際に目の当たりにするケースのほとんどは…
起用のタイミングが間違っている
制作するコンテンツ内容が目的に合っていない
広告の運用方法が適切ではない
これらの内容が広告主側で正しく理解できていない、もしくは代理店でしっかり伝えられていないケースがほとんどです。
台湾市場の展開における多くのクライアントの悩みを解決してきましたが、インフルエンサーの手法に頼らずとも、弊社のサポートで市場成長したクライアントも数多くいらっしゃいます。
サポート開始1年で700%超えの成長率で台湾撤退を免れた
進出2年目で500%成長の売上を達成、更に拡大中
台湾初進出で計画当初の1.8倍の集客を達成
上記の例は一部ですが、弊社にて多くのクライアントのマーケティングデザインをお手伝いさせて頂きました。
その事例は必ずしもインフルエンサーの起用で成功したわけではなく、地道なブランディングの下地作りをした上でインフルエンサーを起用して認知を広げたという手段の一つでしかありません。千里の道も一歩よりです。※ここ大事
多くのご相談を頂いた中で危機感を感じたのは、どのクライアントも始めの頃はインフルエンサーやKOLを活用すれば直ぐに結果に繋がる(売上が上がる)と強く思いこんでいるという点です。
インフルエンサー=売上UP、に繋がると直結して考えていることが大きな間違いであり、インフルエンサーは広告手段の一つであるとお取組みの開始時点でご説明しています。
投入した広告費用が倍になって戻ってくる手法があれば有無も言わずに実施します。
どの企業様もそうですよね。私自身がブランドや商品展開で広告を打つのであってもそうします。
しかし、それが上手くいかないから多くの代理店やメーカーのマーケティング担当者は頭を抱えるわけです。
その逃げ道のような藁にも縋る思いの最適解がインフルエンサープロモーションでした。市場の黎明期でその認知が広まってしまい、ここ数年は無作為な代理店やキャスティング会社に乱用乱発され、インフルエンサーPRで痛い目を見た企業が急増したというわけです。
ここまで悪くなってしまった理由いったいなんなのか?
いくつかありますので、これからお話ししていきたいと思います。
簡単にインフルエンサーになれるようになってしまった
文字通りなのですが、今ではどのSNSでもフォロワーを買えるようになり、フォロワーという数字だけの上では誰でもインフルエンサーと名乗れる時代になりました。
これは某ECショップの商品画面なのですが、「フォロワー購入」と検索するとこのようにズラーッと出てきます。
初めて知る方だと結構衝撃的かもしれません。しかし、フェイクインフルエンサーが存在するのが事実なのです。
今これをお読みになられているあなたが担当中の案件でインフルエンサーを起用しようとなった場合、フォロワー数といいう上辺だけの数字だけでしか起用の判断をしていないのであれば、それは大事故に繋がりかねません。
今ではSaas系の分析ツールも豊富にリリースされているので、インフルエンサーとして機能しているのか(拡散力が本当にあるインフルエンサーなのか)をチェックするのがポイントです。
それでは本物とフェイクの例を挙げてみたいと思います。
前者が本当に人気のあるインフルエンサー。後者が恐らくですがフォロワーを買っているフェイクインフルエンサーです。
両者共に9万ほどのフォロワーがいるのにも関わらず、いいね数は9倍の差があります。
同じようなフォロワー数に対してエンゲージメント(反応数)に差が開きすぎているのです。
もちろん、本人の人気や影響力はいいねの数だけで判断はできません。
が、エンゲージメントが一つの指標となるのは事実。
ポストする時間帯や内容等にも左右されますが、フォロワー数に対してあまりにもエンゲージメントが低い場合はフェイクだと疑ってみるべきでしょう。
それを戦略や方向性も無く提案してくるキャスティング会社や代理店なら間違いなくアウトです。
2019年の海外メディアの分析ではこのようなエンゲージメントに関して下記の図のような平均値を発表しています。
インスタグラマーの場合、10万フォロワー数が1ポストに対しておおよそ1.9-2.5%(1900-2500)の反応数が平均レベルと発表しています。
フォロワー数/拡散力 という点では一つの目安にすると良いと思います。※影響力は起用の価格にも影響当然繋がりますので…!
インフルエンサーによるPRを消費者が判別できるようになった
どのインフルエンサーに関しても文章の内容、写真の構図であからさまに広告だとわかるような投稿が溢れるようになり、投稿を観るのではなく、目に入った瞬間に瞬時に広告案件だと判断できる賢い消費者が増えてきました。
高い金額を払っているのだからメーカーの意向を汲み取らなければいけないのは理解できますが、それは各社同じ。
結果どれも似たり寄ったりのコンテンツが出来上がります。
この様な写真の構図に既視感的な物を感じませんか?
あなたも同じように「広告案件だ」と意識が形成されているからでしょう。
これではあまりにPR色が全面に出過ぎていますよね。
もちろん戦略的にこの表現で良いのであれば問題ありません。
しかし、フォーマット化され過ぎている構図の場合、台湾の一般ユーザーの立場からすると見た瞬間に「広告案件だな」と脳内で無意識的に判断してそのまま投稿を読まずにスクロールされてしまいます。
せっかくインフルエンサーを起用してのPRを実施するのであれば、商品やサービスのブランディングの方向性次第では投稿する表現にバリエーションを持たせた方が良いでしょう。
インフルエンサーの起用方法が間違っている
もっとも多いケースでは、インフルエンサーにコンテンツを投稿してもらったらすぐに成果があると勘違いしている点です。
インフルエンサーの起用方法には三つの方法が存在します。
- インフルエンサー本人によるコンテンツの投稿
- 投稿コンテンツの広告運用(二次広告/廣告主(広告主))
- 素材二次利用権
インフルエンサーを「広告素材」としてみた場合、主にこの三つの利用方法があり、これらを組み合わせてPR施策を行う事が現在のインフルエンサー広告の正しい起用方法なのです。
インフルエンサーのコンテンツ投稿だけでは効果がないの?
非常に多い勘違いとしては、「コンテンツを投稿すればすぐに効果が出る」という点です。
FacebookやInstagramの場合、広告運用をせずにオーガニック(自然流入)のみに頼ったとしても3日間程度しか流入効果がないのに加えて、抱えてるフォロワー全員にリーチしません。
それもそのはず。タイムラインに投稿しても後から更新される新しいコンテンツにどんどんと後ろに追いやられていくのですから。
では一回の投稿をどのようにすれば長持ちさせ、効果を最大化させられるのか?
それが二次広告(広告主)での広告運用です。
二次広告/廣告主(広告主)とは?
台湾のマーケティング市場では主に廣告主(広告主)の利用権利と呼ばれています。
コンテンツの投稿だけをしてもオーガニック(自然)流入だけでは限界があります。
投稿したコンテンツ自体を広告運用する事がインフルエンサーPRで本当にやるべき施策なのです。
特にFacebookがメインである台湾市場では、コンテンツ投稿後にFacebook広告運用を実施しないと全くユーザーにリーチしません。Instagramでも同様のことが言えます。
Facebookのアルゴリズム上、よほどうまくページの運用をしていない限り、無広告では多くのユーザーにリーチできない状態となっています。
フォロワー15000程のあるFacebookページの投稿リーチ数を参考に見てみましょう。
一方の投稿では無広告でオーガニックリーチ778、もう一方の投稿ではオーガニックリーチで1001の広告リーチが25,162です。
フォロワーが15000あるにも関わらず、広告出稿の有無でこれだけの差があります。
比較的上手に投稿コンテンツを制作して運用できているフォロワー数6000程度のFacebookページでさえ、それでもオーガニックでは800-1000程度の15~16%のリーチです。
FacebookやInstagramに関して商品認知を広げるにはプラットフォームでの広告出稿が大前提のアクションとなります。
インフルエンサー素材二次利用権とは?
素材の二次利用権とはインフルエンサーの肖像権を購入して商品PRに使用するという事です。
例えると、通販ページ等でよく見る「あの人も愛用しています!」というコンテンツですね。
WEBなのか、印刷物や店舗POPやOOH等での利用等で範囲は様々ですが、通常のインフルエンサー広告の場合はWEBサイトや商品ページ、運用型広告での利用が一般的です。
直接の購入に繋がるかはわかりませんが、商品やブランドを大切に育てる場合のブランディングとしてはなくてはならない手法です。
商品LPの画像を見たユーザーが「あ、この人も使っているんだ」というのは無意識の説得材料としては強烈で強力です。
インフルエンサー起用の本質は「本人の投稿」ではなく、これら二次広告と二次利用権による広告運用が本当の価値であり、二次広告や広告運用を許可してもらえないインフルエンサーは基本的にアサインするべきではないと我々が考えています。
今後のインフルエンサー広告のあり方
インフルエンサーの間違った起用方法と正しい起用方法についてのお話しでした。
インフルエンサーとはマーケティングツールとしての一つの手段であり、絶対策ではありません。
事実、とても効果が出るインフルエンサーは実際に存在します。
しかしその裏側は違法的(黒よりのグレー)な表現で消費者を煽って売上を上げているケースも少なくはありません。
弊社では「とりあえずインフルエンサーを起用して誇大広告で売り切ればOK!」というような案件はお断りしています。
ブランディングを大切にしている商品・サービスにはそのような手法は通じませんし、消費者もマーケティングを担当している人間も決して幸せにはなれない、愛のある仕事だと思わないからです。
※余談ですが、マーケティングでもなんでも従事するからには「愛」を注げる事が一番大切だと思っています。
モノや情報が溢れているからこそ「ブランディング」に重点を置いたマーケティング戦略を弊社では提案しております。
価値観の拡大や、ヒト・モノ・情報が氾濫する現代において、ブランドのプレゼンスを高めるブランディングには、どうしてもニッチでマクロな層から取り囲まなければいけません。
それを満たす手段としてインフルエンサーは活用するべきですし、必要不可欠になります。
ただ安直に「インフルエンサーで売れる!」とお考えならお辞めください。弊社でもお止めします。
本当にインフルエンサーを起用する良い程の…
商品・サービスの情報が消費者に届く状態ですか?
ブランディングの下地が整っている状態ですか?
商品・サービスを中長期で育てていく計画はできていますか?
これらを今一度立ち止まって問い掛けてみてください。インフルエンサーを起用前に出来る事があるはずです。
課題にお悩みであればお気軽に我々にご相談下さい。共に最適解を探して市場を創り出しましょう。